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うちの裏山にイタドリいっぱいになるので、隣のおばあちゃんたちが「これが美味しいのよ~!!」って言ってきて。大阪から引っ越してきて、喋った一発目がイタドリ。(笑)こっちはね、新参者でドキドキしているから「そ、それなんですか。」って聞くと、みんなで手取り足取り教えてくれて。

​Lisboaにて。

イタドリのオランデーズソースを囲み、
Lisboaのイタドリとの出合いをきっかけに、
ジョゼがパン作りに込める想いまでを振り返ってきました。

 

Vol.3では、ジョゼの舌を作った祖国・ポルトガルでの
取るに足らない美味しい記憶から、
美味しさの作り方まで深堀りします。

 

​食べれば料理はなくなってしまう。
だけど、美味しい記憶は残り続け、
いつかの自分を癒し、心の拠り所になる。

 

明日の料理が、ちょっとだけ美味しくなりますように。

2024.11.17.Sun

Vol. 3 料理とは、思い出をしまう術

祖国にて、記憶に残る美味しい思い出

 ―     パンだけじゃなくて、料理にまつわる小さい頃の思い出がありそうですね。

 

ジョゼ  あるある。ポルトガルには、料理で家族が集まる文化がある。

       だから、家族の思い出を思い出すときは、テーブルの周りにあることが多い。

       クリスマス、夏休み、週末、誰かの誕生日、 イースターなどなど。

       基本的に、みんながテーブルに集まって、その季節とか、

       祝日の料理を作ったりする。

 

 ―     ジョゼも小さいころから料理が好きだったんですか。

 

ジョゼ  誰かしか作れないものだったら、その時しか食べれないけど、

       作り方がわかったら、いつでも自分で作れるから好きなんだと思う。

       例えばポルトガルでは、いつもクリスマスの時しか、

       フレンチトーストを作らない。

       大好きだったんだけど、お手伝いさんやおばあちゃんに、

       ねだっても「作ります、作ります。いつか作ります。」って言われて。

       いつまでたっても作ってくれない。

       だったら自分で作るしかなくて、調べて作ったりしてた。

       火を使って、誰も頼まずにできるから、それがいいでしょ。

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 ―     記憶に残ってるおいしい料理って、あったりするんですか。

 

ジョゼ  ありますよ、もう、たくさん。

            まずは七面鳥をよく食べる。クリスマスは特別で、

       七面鳥の中に詰める栗のペーストがものすごくおいしかった。

       栗とレバーでペーストを作って、そのペーストを七面鳥のお腹に入れて焼く。

       七面鳥のお肉と栗のペーストとグレービーソースと、

       フライドポテトと一緒に食べる感じ。

       あとは、ばあちゃんちに集まる時に食べた、

       牛テールの煮込みパスタのすごい記憶がある。

       基本的に超でかい鍋を作って、おばあちゃんがもう断るまで、

       僕もいとこたちもおかわりしまくってた。

料理とは、思い出をしまう術

ジョゼ  やっぱり料理をつくると、すごい匂いが漂う。

      その匂いに思い出が残りやすい。

       遊んだりした記憶もあるけど、料理関係はたくさん残ってる。

       子供のときに出会った人、仲良しな人、会わなくなっても、

       亡くなっても記憶に残り続けるので、それが嬉しい。

 

 ―   人が集う真ん中に料理がいつもあったんですね。

       料理が、本のしおりになっていて、その料理を食べれば、

       その周辺の会話や家族や友達との思い出のページが開かれるみたいな。

ジョゼ     全部音楽も切って、テレビも切って、

     みんなで一緒の時間に食べるんだけど、昼でも夜でも数時間かかるの。

     子供の頃は、

     「もう立っていいんですか。」「もう遊びに行っていいんですか。」

     って相談するぐらい。

     でも、10代になったらそれが楽しくなってきて、

     大人たちとテーブルにわざわざ残ったりとかしてた。
 

 ―   食事の時間が、ただ食べるだけの作業ではなかったんですね。

     日頃の食事で大事にしてることって何かあるんですか。

 

ジョゼ     基本的に晩御飯はみんなで集まって食事する。

     その時にも子供には、

        「3人とも完食したら立ち上がっていいよ。」

        「まだ食べ終わってないから、残ってください」

     って伝えてるかな。

     食事は家族の時間っていうことも彼には伝えたいかな。

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「Lisboa的、美味しい」を探訪する

 ―   Lisboaとして作りたい美味しさってなんだと思いますか。

 

ジョゼ     幸せ度が上がること。

     口に入れて、「幸せ!」ってなる、「食べてよかった」ってなる。

     気分が落ちたり、口に入れるもので気分が落ちるんだったら、

     美味しくない。

 

 ―   すごくシンプルですね。

 

ジョゼ   「美味しい」と「普通に食べれる」の境目はすごく近いけど、

     たまに、本当にひとつまみの塩だけ渡すと、

     「普通」から「美味しい」の線を超える。

     例えば、よく大阪で行っていた超有名な深夜営業の

     レストランがあるんだけど、

     シェフは腕があるのにいつも塩が超薄かった。

 

はづき     きっと自信がないんだよね。

     めっちゃ上手なのにあと一振りあったら

     「普通」から「めっちゃ美味しい」になるのに、

     なんかもったいないなーって。

 

ジョゼ     精進料理でもね、 美味しいところは、

     塩分がちゃんと薄くても、バランス的には甘さ、

     酸味、塩気がちゃんとバランスとれてる。

はづき     だからうちのパンはちゃんと塩ちゃんと入ってて、

     そのまんまでも美味しい。何もつけないでも。

     そのために、おいしい塩を使ってる。

ジョゼ     やっぱり何回も何回も作って、美味しいものも、

     失敗のものも食べるのも大事。

     他の人の食事も食べてもいい。

     たくさん味を舌が記憶することで、

     その組み合わせを思い出せるデータバンクを作れる。

     まず、作らなければ、失敗しない。

     パンもそうだけど、失敗しないとうまくならない。

     失敗して、やり直して、失敗して、見直して、失敗して、

     やっとできる、そればっかりだね。

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