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​マツオカ

パウンドにて。

季節のお菓子が人気のマツオカパウンドにて。

イタドリジャムのパウンドケーキを囲み、

ケーキにしたためる思いを聞いてきました。

 

Vol.2では、父と娘のあいだに生まれたイタドリの思い出から、

ないものねだりの幼い記憶まで。

「無いなら作る。」

小さなころに刻まれた呪いが

夢を拓いてゆくパワーになっていたのです。

​​​

​明日の「食べる」がちょっとだけ楽しい時間になりますように。

​季節に急かされて作るお菓子 / 創作は妄想から始まる / 甘いだけがケーキじゃない

​酸っぱくて美味しい失敗 / 無いなら作ればいい / 自分にしかできないことがある場所

25歳、味のない記憶 / 東京で出会った食にアツいベーカリー / お菓子屋がサトウキビを収穫する理由

2025.2.2.Sun

自分にしかできないことがある場所

​酸っぱくて美味しい失敗

― イタドリとの初めての思い出はありますか?

 

昔から親しみがあるわけではないんですよ。

「ただ豚肉と炒められてあるやつ」ぐらいの印象しか本当になくて。

採ったことないし、どこに生えちゅうのかも知らん。(笑)

でもある日突然、お父さんが毎週行くゴルフの帰りに、

「ゴルフ場の脇に生えちゅうき」って言って、

イタドリを採ってきたんですよ。

家で、塩漬けされてない葉っぱのついた状態のものを初めて見たんです。

5年くらい前かな。

 

― とても最近ですね。イタドリ自体は知ってたんですか?

 

存在は知ってた。

だけど「高知県民のソウルフード、イタドリ」って言われても

全然ピンとは来てない(笑)

まず、家の食卓に出たことないんですよ。

外食とかスーパーのお惣菜に存在するもの、

「なんやろこのシャキシャキした炒め物」っていう認識くらいもので。

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― お父さんは本当に急に採ってきたんですね。

 

で、お母さんに怒られながらイタドリの皮を剥きゆうんですよ。

 

― 怒られてた…?

 

面倒くさいから。

お母さんは働きながら家事して、昔は子育ても介護もあって。

今考えると、超忙しい。

そりゃ、ごはんはなるべく早く作りたいですよね。

だからイタドリみたいな手間のかかるものって

料理したくなかったんやと思う。

昔から馴染みがあるわけじゃなかったから余計に面倒くさいし。

その後、お父さんは、塩漬けしたイタドリを

ゴルフ仲間の料理人に持って行ったんですよ。

 

― お父さん、諦めなかったんだ…。

 

「料理はその人に任せる!」って言って。

だけど、塩漬けがうまくできてなくて、

「こんな酸っぱいの使えるかー!」って

その料理人に怒られよった(笑)

 

そこで私も、その「酸っぱい」と言われるものを食べてみたんです。

イタドリの正解の味がわからんかったき、

「ルバーブに似てて美味しいやん。」って。

お父さんのそのイタドリも「全然失敗作じゃないやん」と思って

ジャムにしたのが始まりなんです。

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無いなら作ればいい

― 面白いお父さんですね。どんな家庭だったんですか。

 

うちの家の食卓には、誕生日ケーキが登場したことがないんですよ。

親に「誕生日は親に感謝する日だ」ってすごい言われよって。

今となれば納得するけど、そのときはそれがわからんくて。

「なんでケーキ買ってくれんが?」って聞くと、

「ないなら自分で作りなさい」って言われてた。

 

― それが今のマツオカパウンドに繋がっているんですね。

 

その時から、ずっとケーキに憧れを持ってたんやと思う。

だから、高校卒業してからは、

東京にあるお菓子の専門学校にいったんです。

自分の名前が書かれたケーキを作りたくて。

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― 東京にはどれぐらいいたんですか?

 

10年以上いたかな。

 

― 東京での生活で1番印象に残ってる「食」はありますか。

 

なんやろう…東京の生活…。あ、ちくわぶ。

 

― ちくわぶ!?

 

あの、おでんのちくわぶ。

 

― どこで食べたちくわぶですか。 

 

コンビニで。

 

― コンビニで!?

 

「東京のおでんには、『ちくわ』じゃなくて

『ちくわぶ』っていうのがあるんだよ」

っていうのを、誰かが教えてくれて。

出汁を吸ったちくわぶ、美味しかった。

あれは、うどんとまた違うなにか。

なんで高知にはないんやろ。見かけたら買うようにしてる。

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​自分にしかできないことがある場所

― 東京でお店をやろうとは思わなかったんですね。

 

東京には何でもあるんですよ。

知りたいことは知れるし、行きたいとこにもすぐ行けるし、

行ってよかったってすごい思う。

だけど最初からずっと、絶対に高知に帰ってきて

お店をやりたいなと思ってて。

 

― それはなんでですか?

 

東京での生活が長くなるにつれて、自分にしかできない、

それでいてちょっと懐かしいお菓子を作りたいっていう気持ちが

はっきり芽生えてきて。

あと、やっぱりただただ高知が好きで、

高知の人にもそれを楽しんでもらえたらなぁと思って帰ってきたんです。

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